トーンアンゲル(ドイツ語:Tonangel、英語:Boom Pole)は、マイクロフォンを取り付けて上方から音声収録を行う伸縮式の録音機材です。映画撮影において音響技師がフレーム外から音を拾うために使用します。
技術的詳細
プロフェッショナルなブームポールは、内部ケーブル(Internal Cabling)または外部スパイラルケーブルを備えた3~8セグメントで構成されています。カーボン製のモデルは、長さ3.5メートルで約1.2kg、アルミニウム製は約1.8kgです。グリップ部分は30~40cmで、モスポリエチレンやコルクなどの滑り止め素材が使用されています。標準的なコネクタはXLR-3またはTA3ミニチュアプラグです。K-Tek Klassik Seriesのような高品質なモデルは、45度回転ロックを備えたツイストロック機構を採用しており、500グラムまでのマイク負荷をたわみなく保持できます。
歴史と発展
ブームポールの最初の記録的な使用は、1929年にフォックスのMovietoneスタジオで「In Old Arizona」のために行われました。サウンドエンジニアのエドマンド・H・ハンセンは、屋外撮影で俳優のマイクロフォン位置が見えないように録音する必要性からこの原理を開発しました。1940年代には、標準的な長さが3~4メートルとして確立されました。カーボン製の構造は、1982年にK-Tek社によって市場に投入され、アルミニウム製の前モデルと比較して重量を40パーセント削減しました。
映画での実践的な使用
「Children of Men」(2006年)では、6メートルのカーボン製ブームポールにより、有名な12分間のワンカットシーンで、映像に影を落とすことなくシームレスな音声録音が可能になりました。サウンドアシスタントは、俳優から4~5メートルの距離で追従しました。標準的なワークフロー:カメラフレームの60~80cm外側にポジショニング、マイクの向きを話者に対して45度、音源からの距離を60~120cmに一定に保ちます。風速15km/hを超える風によるハンドリングノイズや、8分以上の撮影によるサウンドアシスタントの疲労といった欠点が見られます。
比較と代替手段
ラベリアマイク(ピンマイク)と比較して、ブームポールは衣擦れの音なしで、より自然な空間音を提供しますが、追加の人員が必要です。現代の代替手段としては、Rycote InVision Systemのようなリモートコントロール可能なマイクショックマウントや、ズーム技術を備えたカメラマイクがあります。2メートル未満の距離でのセリフシーンでは、ブームポールは音質においてすべての代替手段を凌駕します。ラベリアマイクは、アクションシーンやカメラが360度回転する際に好んで使用されます。