タイムライン上でクリップを時間軸方向に移動させ、クリップの長さは変わらない。前後のクリップが自動調整される。
技術的詳細
スライド編集は、クリップをタイムライン上で指定されたフレーム数だけ左右に移動させる編集手法です。例えば、24fpsの場合、24フレーム(1秒)右に移動させると、先行するクリップは24フレーム短くなり、後続のクリップは24フレーム長くなります。移動したクリップ自体の尺は変わりませんが、元の素材の異なる部分が表示されることになります。Avid Media Composerでは「U」キー、Adobe Premiere ProではスライドツールまたはAltキーを押しながらドラッグすることでこの機能が有効になります。Final Cut Pro Xでは、ブレードツールのメニューから、またはトリミング中にShiftキーを押しながら行うことができます。
歴史と発展
スライド編集は、1980年代後半にデジタル編集システムが登場するにつれて発展しました。Avid Technologyは、1989年に最初のMedia Composerでこの機能を独立したツールとして初めて実装しました。それ以前は、物理的な編集台でこのような操作を行うには、複数のカットを貼り直すという手間のかかる作業が必要でした。1991年にはLightworksが、スライド操作中のリアルタイムプレビュー機能を追加しました。2000年代以降の最新システムでは、複数のクリップを同時にスライドさせたり、ネストされたシーケンスに適用したりすることが可能になっています。
映画における実践的な使用例
スライド編集は、リップシンクを調整する必要があるダイアログシーンの同期によく使われます。これは、シーンのリズムを変えずにリップシンクを合わせるのに役立ちます。映画「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)では、エディターのカーク・バクスターが、アーロン・ソーキンの速いダイアログを正確なタイミングにするためにスライド編集を使用しました。ミュージックビデオでは、このテクニックを使って、全体の長さを変えずに映像の切り替わりをビートに正確に合わせることができます。スライド編集は、特にドキュメンタリー作品に適しており、発言の長さを維持したまま、タイミングを再配置する必要がある場合に有効です。ただし、十分な元の素材がない場合、移動したクリップが元素材の使えない部分を含んでしまうという欠点が生じます。
比較と代替手段
クリップのイン点とアウト点を変更せずにタイムライン上の位置を変えないスリップ編集とは異なり、スライド編集は、カットポイントを一定に保ちながら位置を変更します。一方、ロール編集は2つのクリップ間のトランジションを移動させ、リップル編集はタイムライン全体の長さを変更します。代替手段として、最新の編集システムでは、正確な再配置のためのスリーポイント編集や、希望するカットシーケンスを手動で再構築するためのブレードカットが提供されています。しかし、シーケンスの長さを変えずにタイミングを再配置する最も効率的な方法として、スライド編集は依然として重要です。