技術的詳細
フラッグシップモデルのAtlas 30は、自重8.5kgで最大30kgのペイロードを搭載可能で、独自のシリコンフルードシステムを採用し、温度補償された粘性(-20℃~+60℃)を備えています。カウンターバランス機構は15段階の精密なスプリング調整により、±90°のチルト角度で常にバランスを保ちます。Vector 7(最大7kg)やAtlas 7(最大15kg)のような小型モデルも、軽量なセットアップ向けにラインナップされています。
特徴的な赤色塗装とCNC加工されたアルミニウムコンポーネントは、ブランドの象徴です。各ヘッドは、10,000回のパン・チルト動作を含む72時間の品質検査を経て出荷されます。
歴史と開発
ロン・ベイカーは、第二次世界大戦から帰還後、航空機用油圧システムに触発され、1946年に最初のフルードヘッドを開発しました。1962年には伝説的なModel 2Bが登場し、BBCやイギリスの映画スタジオで30年以上にわたり使用されました。
1985年にマイク・ベイカーが会社を引き継ぎ、製品ラインを近代化しました。1992年には、カウンターバランスとフルードダンピングを初めて完璧に組み合わせたAtlasシステムでブレークスルーを達成しました。2018年には、Cartoniとの協力により、改良されたロック機構を備えたAtlas-FDVシリーズが発表されました。
映画での実用例
ロジャー・ディーキンスは、「1917」(2019年)のステディカムシーケンスでRonford-Baker Atlas 30を使用しました。これは、8分間の長回しシーケンスに必要な精密なバランスをこのヘッドだけが実現できたためです。ホイテ・ヴァン・ホイテマは、「ダンケルク」(2017年)で、コンパクトなデザインが最大限の機動性を提供したため、ハンドヘルドIMAX撮影にVector 7を採用しました。
典型的なワークフロー:バランス調整は30秒で完了し、フルード調整は撮影中にサイドのノブで行われます。機械的な精度により、毎秒0.5°以下の低速パンにおけるマイクロジッターが排除されます。
比較と代替案
Sachtlerヘッドは同様のフルード品質を提供しますが、機械的な精度ではなく電子タッチコントロールを備えています。O'Connorヘッドは45kgを超える超重量級セットアップで主流です。CartoniはENG分野で強みを発揮しますが、Ronford-Bakerは制御された環境でのナラティブプロダクションにおいて無敵の存在であり続けます。
Millerヘッドは40%安価ですが、ハンドメイドのRonford-Bakerメカニズムの長期的な安定性には及びません。最新のジンバルシステムは、特定の動きのパターンでのみ三脚ヘッドを置き換えるものであり、クラシックなパン/チルト撮影には対応しません。