ローリングシャッター現象によるCMOSセンサーの画像歪み。高速カメラ移動時に行単位の読み出しで生じるゼラチン状の映像変形
技術的詳細
CMOSセンサーは、画像データを上から下へ順次読み出します。各行は前の行よりも約1/60,000秒から1/120,000秒遅れて読み出されます。典型的な4Kセンサーで2160行、1行あたり1/60,000秒の場合、総読み出し時間は36ミリ秒です。この時間内に被写体やカメラが動くと、異なる画像行で同じ被写体が異なる位置に写ってしまいます。この効果は動きの速度に比例して増幅され、速いパン、振動する被写体、回転するプロペラなどで特に顕著になります。
歴史と発展
ジェロー効果は、1990年代後半に最初のデジタルCMOSビデオセンサーが登場した際に初めて観測されました。初期のCCDセンサーはグローバルシャッターを使用し、すべてのピクセルを同時に読み出しましたが、CMOSメーカーはコスト削減のためにローリングシャッターを採用しました。キヤノンは2008年に5D Mark IIでこの効果を多くの映画製作者に知らしめました。それ以来、メーカーは様々な補正メカニズムを開発してきました。ジャイロスコープデータを使用した電子式手ぶれ補正、機械式センサー手ぶれ補正、そして2019年からはプロ用途向けの最初の手頃なグローバルシャッターCMOSセンサーが登場しました。
映画での実践的応用
映画『クローバーフィールド』(2008)では、意図的に使用されたジェロー効果が、ハンドヘルドカメラのシーケンスの、慌ただしくドキュメンタリー風な美学を強調しました。アクション映画では、マイクロ振動を排除する機械式ジンバルシステムやステディカムリグを使用することで、この効果を回避しています。ドローン撮影では、DJI Inspireなどのシステムが、0.02°の精度を持つ3軸ジンバルでこの効果を補正します。ミュージックビデオでは、意図的に手ぶれ補正を行わず、速い動きを振り付けることで、増幅されたジェロー効果をスタイルの要素として使用することがあります。
比較と代替手段
Phantom TMXやSony FX6(グローバルシャッターモード)のようなグローバルシャッターカメラは、この効果を完全に排除しますが、同等のローリングシャッターモデルの3〜5倍のコストがかかります。機械式手ぶれ補正は効果を80〜90%削減しますが、純粋な電子式システムは40〜60%の補正しか達成できません。CCDセンサーはジェロー効果を示しませんが、同等の解像度で10倍高価であり、消費電力も大幅に大きくなります。静止画撮影や低速の動きでは、ローリングシャッターが最も経済的なソリューションであり続けます。