赤外線抑制機能付きND フィルター。680–720 nm以上の赤外線放射をブロックし、デジタルカメラの色かぶりを防止。
技術的詳細
IRNDフィルターは、高品質なショットガラスまたはコーニング基板上に多層光学コーティングを施したものです。IRカット層は680-720nm以上の波長を99%以上の効率でブロックし、ニュートラルデンシティコーティングは400-680nmで±2nmのスペクトル精度を達成します。標準的なフィルターサイズには、4x4インチ、4x5.65インチ、6x6インチ、138mm丸型フィルターがあります。シュナイダーIRNDやARRI FSNDなどの高品質なバリエーションは、Tストップ0.6からTストップ2.7の透過率を達成し、色ずれはデルタEで1%未満と最小限です。
多層コーティングは、センサー素子とフィルター間の反射を防ぎます。これは、ベイヤー配列を持つCMOSセンサーにとって重要です。
歴史と開発
IRNDフィルターは、RED ONEのようなデジタルシネマカメラのIR感度の上昇に対応するため、2009年に登場しました。シュナイダー・クロイツナッハは2010年に最初の市販IRNDフィルターを開発し、2011年にはティッフェンとフォーマット・ハイテックが続きました。ARRIは2014年にFSND(フルスペクトルニュートラルデンシティ)で、スペクトル直線性Improvedにより標準を革新しました。
ソニーFX9やキヤノンC300 Mark IIIのようなカメラにより、IR感度が拡張され、IRNDフィルターなしでは使用できない肌の色調になるため、開発は加速しました。
映画での実用例
「ブレードランナー 2049」(2017)の屋外撮影では、DOPのロジャー・ディーキンスがIRND 1.2フィルターを使用し、f/1.4で特徴的な浅い被写界深度を達成しました。 「1917」(2019)では、Steadicamシーケンス中の継続的な露出調整のためにIRND 0.9フィルターが使用されました。
IRNDフィルターはカメラ内蔵の測光に0.1〜0.3ストップ影響を与える可能性があるため、ワークフローには正確な露出測定が必要です。混合光の状況では重要です。IRNDフィルターは、タングステン光からのIR汚染を排除し、未処理のままではマゼンタシフトを引き起こします。
比較と代替案
標準的なNDフィルターは可視光のみを減衰させますが、IR放射を通過させてしまいます。これは、IRカットフィルターが内蔵されていないCMOSセンサーでは問題となります。可変NDフィルター(VND)は柔軟性を提供しますが、クロス偏光を引き起こし、IR補正されていません。
最新カメラの内蔵NDフィルター(ソニーFX6:1/4、1/16、1/64)は、NDとIRカット機能を兼ね備えていることが多いですが、フィルターの選択肢を制限します。IRNDフィルターは、外部フィルター制御と最高の光学品質が求められるハイエンドプロダクションでは標準であり続けています。